ピンポン録音
「ピンポン録音」について、DJ用語の意味などを解説

ピンポン録音とは、トラック数の少ないカセットMTR等で使われてた録音方法。4チャンネルといってもモノラルが4つなので様々な楽器を重ねて録音する場合すぐにトラックが埋まってしまう。そこで空いているトラックに音量調整等をした各楽器のチャンネルをミックスダウンし、今まで使っていたところに新たに録音できるようにするテクニック。
ミックスダウンしてしまうとそれぞれのパートの音量は調整できなくなる。多重録音。
ピンポン録音とは、トラック数の限られたマルチトラックレコーダー、特にカセットMTRなどで広く用いられた多重録音のテクニックである。4トラックのカセットMTRでは、それぞれのトラックがモノラルであり、ドラム、ベース、ギター、ボーカルといった複数の楽器やパートを同時に収録するとすぐにトラックが不足してしまう。
そこで考案されたのがピンポン録音であり、使用済みの複数のトラックをまとめて空いている別のトラックにミックスダウンし、新たな録音スペースを確保するという方法である。
この手法を繰り返すことにより、限られたトラック数でも数多くの楽器やボーカルを重ね録りすることが可能となる。
しかし、一度ピンポン録音を行ってしまうと、それぞれのパートを個別に調整することは不可能となり音量やエフェクトのバランスは固定される。そのため、最初の段階での録音バランスや定位の判断が非常に重要となり、エンジニアやプレイヤーの経験や感覚が大きく仕上がりに影響を与える技術である。
また、ピンポン録音には音質的な制約も伴う。カセットMTRの特性上、何度もダビングを重ねることでテープヒスやノイズが蓄積し、音がこもる、あるいは解像度が失われるといった現象が発生する。そのため、いかに少ない世代で効率的に音をまとめるかが、当時の録音における腕の見せ所であった。
デジタル録音が主流となった現代では、無限に近いトラック数を扱えるDAWが普及し、ピンポン録音の必要性はほとんどなくなった。
しかし、制約の中で工夫を凝らし、音を積み重ねていくピンポン録音の手法は、宅録文化の発展に大きく寄与した歴史的な技術であるといえる。
さらに、音質の劣化や独特の質感を逆に活かす手法として、今日でも一部のアーティストやエンジニアに再評価されることがある。
「ピンポン録音とは」DJ用語としての「ピンポン録音」の意味などを解説