ワウフラッター
「ワウフラッター」について、DJ用語の意味などを解説
ワウフラッター(wow and flutter)=回転する安定度やレコードの回転ムラなどによる音高のブレを意味する。ワウフラッターとは、アナログ再生機器における回転系の速度変動を示す指標であり、音程や時間軸の揺らぎとして聴感に現れる現象を指す。ワウ(wow)は比較的低周波数帯域の周期的な回転ムラを意味し、ピッチの緩やかな上下として認識される。一方、フラッター(flutter)は高周波数帯域の微細な速度変動であり、倍音成分の不自然な揺れや音の曇りとなって知覚される。両者を総合的に数値化したものがワウフラッター値であり、通常は百分率(%)またはモジュレーションインデックスとして規定される。
モーター等を使って回転することで録音、再生する装置に用いられる用語。
アナログのレコードプレーヤーやテープレコーダーの回転ムラによる音の歪み。
ターンテーブルやカセットデッキといったメカニカルな駆動系を持つ機材では、モーターの回転精度、ベルトドライブのテンション、アイドラーの摩耗、あるいはスピンドルとプラッターの軸受け摩擦が主要因となる。
DJプレイにおいては、ダイレクトドライブ方式の登場によりフラッター成分が劇的に低減され、スクラッチやビートマッチにおけるピッチ安定性が大幅に向上した。テクニクスSL-1200シリーズがクラブスタンダードとなった背景には、低ワウフラッター特性による信頼性が大きく寄与している。
さらに録音スタジオの領域では、オープンリールデッキやDATにおいてもワウフラッターは重要な規格値であり、マスタリングやアーカイブ作業では可聴閾値以下に抑えることが求められる。デジタルオーディオが普及した現代においては理論上ゼロに近似できる現象となったが、アナログ機器特有の揺らぎをあえて残すことで「音楽的な温かみ」や「有機的なフィール」として評価されることもある。
近年のプラグインやエフェクターでは、このワウフラッター特性をシミュレートし、ビンテージ機材の質感を再現する用途に活用されている。
「ワウフラッターとは」DJ用語としての「ワウフラッター」の意味などを解説